産学官共同研究報告
『心理学×VRで火災による死者をゼロへ』
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この度、当共同研究が「ジャパンレジリエンスアワード2024」優秀賞を、
岡山市消防局、岡山大学岡崎准教授と共に受賞しました。
詳しくは、こちらをご参照ください。
この度、当共同研究が「防災・減災xサステナブル大賞2024」奨励賞を、
岡山市消防局、岡山大学岡崎准教授と共に受賞しました。
詳しくは、こちらをご参照ください。
私たちは映像制作やインタラクティブシステム開発の受託だけでなく、岡山大学学術研究院教育学域 岡崎善弘准教授(心理学)、岡山市消防局と連携したVRや動作認証のシステムを使った”減災”の研究にも取り組んでいます。
VR技術と行動心理学の融合:革新的な火災安全教育研究
研究の背景と目的
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住宅火災による死者の約75%が高齢者(65歳以上)で、主な死因は「逃げ遅れ」
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住宅用火災警報器の設置義務化などの対策を行っているが、高齢者の死亡率は依然として高い
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「逃げ遅れ」の具体的な原因が不明なため、VR(仮想現実)を用いて高齢者の火災時の行動特性を調査
研究方法
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参加者:高年群(65歳以上、23名)と若年群(高校生・大学生、23名)
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VRで1階建て住宅の火災状況を再現
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参加者は寝室からスタートし、開始30秒後に台所から出火
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行動を記録し、脱出までの時間を計測
主な結果
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火災認知時間
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高年群:48.3秒、若年群:48.0秒
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両群に有意差なし
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脱出所要時間
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高年群:140.4秒、若年群:54.4秒
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高年群が有意に長い
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行動パターンの違い
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若年群:83%が即避難
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高年群:78%が以下の3つの行動パターンを示す
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消火行動:火災現場に近づき消火を試みる
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停止:火災を見続けて動かない
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混乱:各部屋を行き来し続ける
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考察と示唆
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高齢者特有の行動パターンの要因:
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消火行動:「迷惑をかけたくない」という意識
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停止:災害時の凍りつき症候群
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混乱:判断基準の不足や周囲の目を意識
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防火対策への提言:
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従来の設備面での対策に加え、心理的要因に焦点を当てた対策が必要
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公的支援の周知や判断基準の明確化が重要
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研究の意義
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VRを用いて初めて高齢者の火災時の行動を具体的に把握
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「逃げ遅れ」が身体的要因だけでなく、心理的要因に大きく起因することを示唆
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今後の防火教育プログラムへの活用可能性を示した
この研究は、高齢者の火災時の行動特性を明らかにし、より効果的な防火対策の必要性を示した重要な研究といえます。
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開発システム概要
①VR空間上に住宅を3DCGDE構築し、火災を発生させる。
②体験者は、その空間内を移動し、火災に対しての行動を行う。(避難、消火活動等)
③その中での移動、また消化器、日用品等を使って消火活動、スマートフォンを使用しての通報、避難を行う。
④その際の移動、動作を全て記録し、それらの行動データを心理学の検知から分析を行う。